「民法改正で遺留分制度に関する改正があったと聞いたのですが・・・」

Q:民法改正で遺留分制度に関する改正があったと聞いたのですが、概要を教えてください。

私もおかげ様で73歳になり、そろそろ相続対策をしようかと考えております。そこで残される家族でもめ事が起こらないように遺言書を書こうと考えております。
ところで、今般の民法改正により遺留分制度に関する改正があったと聞きました。その概要を教えていただけますか?

A:

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江東区門前仲町の税理士 渋谷広志(しぶやひろし)です。




ご質問ありがとうございます。ご相談者様がお聞きしたとおり、民法改正により遺留分制度が改正になります。ただ、改正された部分と改正されない部分がありますので、遺留分制度について説明しながら解説いたします。




1.「相続させる」旨の遺言による承継には登記等の対抗要件が必要になった

改正民法では、「相続させる」旨の遺言があれば法定相続分を超える部分について登記等の対抗要件がなくても第三者に対抗できると解釈されておりましたが、改正民法では法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件を具備しなければ第三者に対抗することができなくなります。つまり、権利の承継については、遺産分割協議のものであれ、遺贈によるものであれ、相続させる旨の遺言に基づくものであれ、すべて対抗要件が必要になります。
上記は、不動産等の物権等をイメージするとなんとなく理解できるかと思います。ところで、貸付金などの債権を法定相続分を超えて承継する場合の対抗要件についてイメージがつきにくいかと思いますので次で解説します。



2.債権の承継に対する対抗要件の特例

改正民法は同一債権を遺産分割協議や遺贈により法定相続分を超えて相続した者が複数人いた(「共同相続人」といいます。)場合は、それぞれが債務者に通知する必要がありましたが、改正民法は共同相続人のうちひとりが、遺言又は遺産分割の内容(一般的には「遺産分割協議書」)を明らかにして債務者に通知しときは、その承継について共同相続人全員が債務者に通知したものとみなされるようになりました。
ここまでで、"権利=プラスの財産"についての承継について少し理解できたかと思います。ところで"義務=債務=マイナスの財産"の承継はどのような取り扱いになのでしょうか?



3.相続における債務の承継

債務の承継については、改正はされておらず、現行の民法下での判例を条文化したもので、取り扱いをより明確にした点で、債権の承継とは異なります。
そもそも遺産分割の対象となるのはプラスの財産について行われるものでマイナスの財産に対しては対象となっておりません。(注)
債務(被相続人の借金)は、各相続人が、各相続割合で分割された額を承継すること原則であり、相続人全員が連帯して承継するわけではありません。
しかし実務では、あるアパートを相続人Aが相続したにもかかわらず、このアパートに係るローンもその相続人Aに承継させることで遺産分割がスムーズにいきます。
このような場合は、相続人間の遺産分割協議だけでなく、そのローンの債権者(=銀行)を含めた三者での「免責的債務引受契約」を成立させることで可能になります。
そのほかに債務を承継しない方法は、まったく遺産を相続しない者については、「相続放棄」することで可能になります。
ここで相続放棄とは、単に遺産分割協議において、遺産を一切受け取らない旨を表明することではなく、家庭裁判所での手続きを経た相続放棄をいいますので注意が必要です。

(注)相続税法の税務申告では、実務上ある相続人が承継したように申告するケースが多いですが、それは相続人間のみで有効な相続内容で申告している場合が多いです。



4.結びに代えて

今回は「相続させる」旨の遺言による承継に改正が入り、従来の最高裁判例を変更するもであるので特に注意が必要です。
遺言執行者は執行の際には留意していただければと思います。



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このコラムは、2019年6月30日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、予め税の専門家にご相談してください。
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