被相続人に賃貸不動産がある場合

賃貸不動産の収入は誰のもの

父が賃貸不動産を含む財産を残して亡くなりました。相続人は、母と私(長男)と妹の3人です。約3年かけて遺産分割協議をし、このたび、賃貸不動産は長男が、その他の財産については母と妹が相続することで分割協議が整いました。

ところで、分割協議が整うまでの3年間の不動産収入は、誰に帰属するものとして所得税の申告が必要となるのでしょうか?

民法と税法は違う

民法では、分割協議が整うと相続時に遡ってその効力が生じることとされています。従って、民法の考えをそのまま踏襲すれば、その賃貸収入は私(長男)に帰属するという考えもあります。

しかし、税法では、遺産分割協議が整うまでのその不動産から生じた収支(「法定果実」といいます)については、遺言で指定していない限り、原則として相続人共有の財産とみなされ相続人全員に帰属します。これは、最高裁で法定果実は被相続人の遺産とは別個の財産と判示された結果です。

所得税の申告は?

従って所得税の申告は、遺産分割協議が整うまでは相続人全員の収入として、整った後は長男の収入として申告する義務があります。

実は消費税にも注意点が 

消費税の納税義務は、原則として2年前の課税売上高などを基に判断します。

遺産分割が整うまでは、相続人共有の収入となるため、その賃貸不動産から生じる課税売上が高額である場合は、納税義務が発生する可能性もありますので注意が必要です。
 

 

このコラムは、平成25年2月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
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