相続税の申告期限前に相続財産を譲渡した場合

Q:今年の9月に兄が死亡し、姉の子、弟及び私の合計3人で、兄の財産を相続しました。
兄の遺言で、すべての財産を換価した上で3人均等に相続することになっており、そのように手続きを進めています。

兄の財産には兄が居住していたマンションがありまして、本年12月に売却し所有権の移転も済ませております。
このマンションの売却代金については遺言に従い3人均等に配分します。
また、このマンションの売却について、いくばくかの利潤が生じますので来年の3月に所得税の確定申告をする予定です。

ところで、相続財産を譲渡した場合には、譲渡所得の税金について優遇を受けられると聞きました。相続税の申告は、来年の6月に行う予定で、所得税の確定申告期限には間に合いません。
このような場合、優遇を受けるにはどのような手続きが必要になりますか?

A:

hiroty.PNG

江東区門前仲町の税理士 渋谷広志(しぶやひろし)です。



ご質問ありがとうございます。ご相談者様がお調べになられた優遇制度は、恐らく「相続税の取得費加算の特例」といいまして、相続財産を相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合に適用される制度のことと思われます。

この特例は、原則として、所得税の確定申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、一定の書類を添付することで受けることが可能になります。

しかし、ご相談者様のように、相続財産を譲渡し、その譲渡に係る所得税の確定申告をした後に相続税の申告期限が到来するような場合は、税務署長に申し出をすることにより、あとから所得税の減額更正を受けることができ、結果として所得税の還付を受けることができます。

但し、この優遇制度を受けるには、相続税の申告書をその申告期限までに提出することが要件のひとつになっておりますのでご留意ください。



渋谷広志税理士事務所・行政書士渋谷事務所のサービス

当事務所は、多くの相続のお手伝いから蓄積されたノウハウが多数ございます。相続税の申告の他、行政書士事務所も併設しているので、相続に関する手続きをトータルでサポートできます。
このコラムは、2020年10月31日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、予め税の専門家にご相談してください。

本コラムの内容そのものに対するご質問は受付しておりません。ご了承ください。