生命保険契約に関する課税関係

生命保険契約は ①契約者 ②被保険者 ③保険金受取人 ④保険料負担者 と4人が登場し、その保険金の取得原因が(ⅰ)死亡(ⅱ)一定の傷病(ⅲ)満期(ⅳ)解約とこちらも4種類があり、さらに契約者の名義書換も可能など複雑です。
 今回のコラムはこれらの生命保険金に関する権利の課税関係で主な契約例について説明したいと思います。

生命保険金に関する権利の課税時期

生命保険金に関する権利の課税は、原則として保険料の負担段階ではなく、保険金の取得原因が発生したときに発生し、その受取人対して課税されます。これが大原則です。

課される税金の種類は、生命保険金に関する権利の受取原因及び保険料負担者と受取人との関係により決まります。例えば、受取原因が発生したときに保険料負担者が生きている前提でも、受取人が保険料負担者本人であれば所得税が課税されますが、受取人が別の人であれば、受取人への贈与として取り扱われ、受取原因が保険料負担者の死亡であれば、受取人へ相続税が課税対象となるのが原則です。

このように、保険料負担者や、取得原因により、所得税、相続税又は贈与税と異なる税金が課されることが複雑さに拍車をかけていますので注意が必要です。

保険契約者以外の人が保険料を負担していたら?

次によくある事例として、例えば親または祖父母を被保険者とする生命保険契約をお子さんが契約者となって結び、親が保険料を負担している“つもり”になっている場合がありますが、注意を要します。

すなわち、保険事故(被保険者の死亡等)が発生していませんので、保険料の負担段階では課税されません。しかし、保険料が親の口座からの自動引き落としであったり、親の確定申告で生命保険料控除等の適用を受けている場合は、保険事故発生時に親から子への、相続又は贈与として取り合扱われます。

 一方で、親から保険料相当額を子に贈与し、子がその贈与を受けた保険料相当額で保険料を支払っていた場合(もちろん贈与税の申告をします)は、保険事故発生時は子の所得として取り扱われます。

留意して頂きたいのは、そのお子様の状況により、相続税>所得税+保険料相当額の贈与税の場合もあれば、逆の場合もあることです。

契約者の名義を孫から子に変更したら

また、孫が契約者で、祖父が保険料を負担している生命保険契約で保険事故が発生していないものを、相続税(2割加算)対策で子に変更することもあります。この場合、まだ相続が発生していないので、名義を変更したということだけでは、生命保険契約の贈与があったものとしての贈与税の課税はありません。

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生命保険契約に関する権利の対する課税関係は複雑です。保険加入について質問や不安がある方は当事務所までお問い合わせください。
 

このコラムは、平成27年7月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。