相続対策 3本の矢 ~争続対策~

相続対策基本3本の矢


 相続対策は、3つの基本があります。つまり「争続対策」「納税資金対策」そして「相続税(節税)対策」です。
 このなかでも「相続を争続にしないように」などの造語もできるくらい争続対策は最重要課題です。遺産が分割できない場合は、法定相続割合で相続税を納めなくてはならず、また小規模宅地の特例などの節税対策も行うことができません。そのくらい争続対策は重要なのです。
 また、相続財産に占める現金の割合は国税庁の発表によると平均で3分の1程度のようですから、相続税の限界税率が30%以上の土地持ち・自社株持ち資産家にとっては、相続税を一括で納付することが困難となり、物納しようとしても、遺産分割協議が整った財産でないと物納できませんから、最悪の場合、相続破産まで発展することすらあります。
 また、節税を考えるにしても、節税制度は基本的に遺産分割協議が整ったものが前提であるのに加えて、税法は毎年改正されるため、現在有効な対策も法改正により減殺されることもあります。そのため、節税重視ではなく、あくまで争続対策や納税対策を重点に生前対策をし、結果的に節税対策にもなった という対策がよろしいかと思います
 
今回は三本の矢のうち、「争続対策」についてご紹介いたします。

相続対策

遺言書の作成

争続対策に有効なもののひとつに遺言書の作成があります。争続は財産の多寡にかかわらず、発生する場合があります。
以下に争続になりやすいケースを掲げておきます。該当する方は遺言書を作成することをお勧めします。

① 先妻と後妻にそれぞれ子どもがいる
② 子どもがいないため、相続人に配偶者のほかに親又は兄弟姉妹が含まれている
③ 財産を与えたくない相続人がいる
④ 特別に多くの財産を与えたい相続人がいる
⑤ 相続権がない親族や知人に遺産を与えたい
⑥ 内縁の妻や認知していない子供がいる
⑦ 公共事業などに財産の一部を寄付したい
⑧ 借入金の担保となっている不動産がある
⑨ 財産のほとんどが自宅で現金が少ない

遺言書の効力は遺言者の死亡により発生します。遺言は遺言書を作った段階で有効ですが効力の発生はあくまで遺言者の死亡です。したがって、遺言者は遺言の内容を死亡するまで何度でも変更することができ、一番日付が新しいもの、つまり後出しジャンケンした遺言(後遺言)が有効となります。 しかし、遺言書を有効にするには、民法に規定する手続きに従う必要があります。

遺言書作成10ポイント


① 包括遺贈ではなく特定遺贈で作成する。
② 全ての財産について遺言(特定遺贈)する。
③ 特定の人に多くの財産を遺贈するときは、他の相続人の遺留分に配慮した遺言をする。
④ 未登記の不動産など遺言書に記載もれの財産がないようにする
⑤ 分割困難な不動産や自社株などは、相続人間で利害が対立しないように、なぜそのように特定遺贈するのか付言事項などを記載する
⑥ 財産について遺言するだけでなく、配偶者の扶養介護などについても遺言しておく
⑦ 遺言書を書き換えるときは、前の遺言書が無効である旨を明記し、改めてすべての財産について遺言する
⑧ 受遺者が遺言の効力発生前に死亡した場合は、その財産を誰に遺贈するか(補充遺贈)を記載する
⑨ 推定相続人に対して遺言する場合には、「相続させる」と記載する
⑩ 公正証書による遺言書を検討する。

次回は「納税資金対策」についてご紹介いたします。

このコラムは、平成25年6月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。

また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい