一般社団を利用しよう!

 一般社団とは?

 一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人のことをいいます。

人の集まりであり、構成員としての社員を2名以上必要とします。

一般社団法人の特徴は、出資者が存在しないことで、社員は単なる決議機関です。したがって、一般社団に属する財産が出資者に払い戻されることや配当されることを想定していません。

一方で、その設立目的に制限がなく、株式会社のように営利事業を行うことも自由にできます。法人税に定める34業種のみ課税される従前の公益法人として活動することも可能ですし、公益認定を受ければ、公益法人としての活動も可能です。

資産管理会社として利用できる

 一般社団法人は利益の配当を目的としていないため非営利法人に分類されますが、行政庁の監督は受けず、実施事業は制約されていないため、資産管理会社としての利用が可能です。

したがって、一般社団法人に財産移転又は賃貸し、子供たちを一般社団法人の理事に就任させれば家族で財産の管理が可能になります。

一般社団法人は、利益の配当等はできませんが、理事や監事へ報酬、退職金を支払うことは可能ですし、最終的に一般社団法人が所有する財産を家族に贈与したり、解散時に残余財産を家族に分配することも可能です。

 株式会社との比較

 株式会社は留保利益は株価に反映され相続税の課税対象になりますが、出資持分が無い一般社団法人は、社員への残余財産の分配が禁止されていることから原則として相続税の課税対象になりません。また、株式に相当するものが無いため、株式分散のリスクもありません。さらに、残余財産の分配が一時所得と判断されれば、配当所得に比較して節税になる場合もあります

信託も併せて検討する

 値上がりが予想される不動産について相続時精算課税制度を利用すれば、相続するより、軽い税金で済む場合もありますが、生前に財産を手放すデメリットや、小規模宅地の特例を利用できないデメリットも考えなくてはいけません。

しかし、一般社団法人を受託者にし、自身を受益者とする自益信託を利用すれば、所有者と同様の利益を得られますし、相続時には小規模宅地の特例を受けられる可能性も残ります。 

渋谷広志税理士事務所のサービス

 一般社団法人はメリットが多い制度ですが、設立方法や運用方法を間違ってしまうと、期待した効果を上げられない場合もあります。実際に設立運用する際はご相談ください。

 

 このコラムは、平成26年5月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。

また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい。